初めてウィキアの存在を知った訪問者の中にも、ウィキアと同じソフトウェアMediaWiki (メディアウィキ) を使ったウィキペディアを意識している方が見られることがあるので、ウィキアとウィキペディアとの違いについて語りたいと思います。
ウィキペディアにはないウィキアの魅力とは?[]
Project:ウィキアは何でないかでも説明されている通り、ウィキアにあるサイトはウィキペディアを運営している組織 (ウィキメディア財団) とははまったく関係ない組織ウィキア社が運営しています。 同じMediaWikiのシステムを利用し、創設者が同じジミー・ウェールズといっても、両者にある考え方や方針はまったく違うものです。
どちらかというと、ウィキアはウィキペディアとは違い、比較的自由なことができます。
ウィキペディアでできることはほとんどウィキアでも可能です。
一方でウィキペディアでできないことや禁止されていることのほとんどのことが、ウィキアでは可能といえるでしょう。
このProject:ウィキアは何でないかというページはウィキペディアにあるWikipedia:ja:Wikipedia:ウィキペディアは何ではないかというページに似ていますが、ウィキペディアに掲載されている内容は、ウィキアのものと比較すると、非常に細かく、厳しいルールが定められています。「ウィキアは何でないか」がほとんどなにもないことからも分かる通り、「ウィキペディアは何でないか」に記載されているほとんどの項目がウィキアでは実行可能です。それくらい、ウィキアは自由度が高いということでもあります。
ただし、ウィキアにある各々のコミュニティの中には、このウィキペディアによく似た独自の厳しいルールをそのウィキアの管理者やコミュニティが設けている場合もあります。そのウィキアのルール (ポリシーやガイドライン) をよく読んでみましょう。
ウィキアにはウィキアなりの魅力や利点が沢山あるように、ウィキペディアにもウィキペディアなりの魅力や利点が沢山あります。 ウィキペディアはサブカルチャーからメインカルチャーや学術系記事に至るまで世界中の人が編集しています。しかし、そのウィキペディアはできる限り最高品質の百科事典を作るという目的に特化しています。
ウィキアでは、必ずしも百科事典を作らなければならない決まりがないことが、ウィキペディアとの決定的な違いのひとつといえます。ウィキアは、ウィキメディア (Wikimedia) にあるその他の姉妹プロジェクトウィクショナリーのような字引きサイト、ウィキブックスのような教科書・マニュアルサイト、ウィキソースのような一次資料収集サイトやウィキクオートのような引用集・名言集・ことわざ事典、ウィキニュースのようなニュースサイトなどとしても扱うことがきます。
それどころか、データベースサイトや図鑑や年鑑として扱ったり、ただのブログ投稿サイトとして扱うこともできます。
それだけでなく、ウィキアは mixi や Facebook のようなSNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス) 型のコミュニティサイトのように扱うことも可能です。そもそも、Wikiであることを意識する必要なく扱うことも可能です。
何もかもウィキペディアの通りにする必要はない[]
もしあなたがどこかのウィキアコミュニティの管理者の場合は、ウィキペディアの考え方やルールが大いに役立つことがあるでしょう。しかしHelp:よくある間違いでも説明されている通り、なんでもかんでもウィキペディアのルールをそのまま持ち込む必要性はありません。ウィキペディアのルールを取り込む前に、なぜそのルールが必要なのかよく考えた方が良い場合もあります。
自分が管理しているウィキアがウィキペディアとまったく同じルールならば、ウィキペディアを使えばよいということになるので、わざわざウィキアを使う必要性がないと思ってしまう人もいるかもしれません。ルールを詰め込み過ぎたり、ウィキペディアの厳しいルールをそのまま自分が管理しているウィキアに持ち込むとウィキアの利点が失われるかもしれません。
できれば、ウィキペディアにある数多くの厳しいルールは、何かしらの理由があって設けているため、理由もなくウィキアには大量に持ち込まないほうがいいかもしれません。編集に協力してくれる人や初心者を縛り付けるルールや、「失敗は許されない」というような脅しに近いルールはおすすめできません。ルールは少ない方が覚える手間も省けますし、縛りが少ない方が気軽に編集してくれる人が増えてきます。初心者が犯すような過ちに関しては、場合にもよりますが、AbuseFilter のような拡張機能で対応できる場合もあります。
比較的自由にプロフィールを書けるルールも可能[]
ウィキアではプロフィールという機能があります。これはウィキペディアでは「利用者ページ」と呼ばれるものとほぼ同等のものです。ウィキアの「プロフィール」機能は利用者ページをさらに拡張したものです。ウィキペディアでは、記事を書かないで「利用者ページ」の編集ばかりする行為は、百科事典を作る行為に相応しくないとして冷たく見られますが、ウィキアでは、そのコミュニティがプロフィールページの編集に関してウィキペディアの利用者ページと同じルールを採用していなければほぼ自由に扱うことができます。プロフィールページで音楽を流したり、画像や動画をはりつけるといった行動によって自分がどんな人間であることを紹介することができます。
ウィキアではさらにブログ機能によって、プロフィールページからリンクされているブログ上で自分の考えを述べたりさらに詳しい自己紹介をしたりすることができます。他にも各ユーザーのブログのコメント欄で他のユーザーと雑談したりと、使い方は多種多様です。
ウィキペディアではブログのような投稿も、百科事典を創り上げるという行為に相応しくないとして冷ややかに見られたりブロックされるというようなことがあるようですが、ウィキアでは、とくにそのような縛りを持ち込む必要はありません。
比較的自由にトークページやコメントを扱えるルールも可能[]
各ページにはトークページと呼ばれるページがあります。このページは、ウィキペディアでは (ウィキペディア日本語版ではノートページと呼ばれています) 主に記事の内容や正確さなどに対する議論などによく使われることがありますが、ウィキアでは記事に対する感想を書くに使うことも可能です。「記事の編集に関する議論以外禁止」というルールをそのウィキアに適用するよりも、感想でもなんでも書けるようにした方が訪問者に窮屈さを感じさせないかもしれません。
ここで記事に対するコメント機能を有効にすると主名前空間のページのHelp:トークページがコメント欄に変わります。すると、何気なくそのページを訪れた訪問者が自然とコメントしやすくなります。しかもこのコメント機能は署名が不要なのでうっかり署名を忘れる心配もなく、何気なくやってきた訪問者に対して毎回署名を促す必要もなくなります。ウィキペディアで見られるような、署名を怠るユーザーを厳しく追求するという行為も不要になります。そうすれば署名をするようにお願いしただけでも面倒になって去ってしまうような訪問者を減らすことができるでしょう。
それでは今までのようにその記事の編集に関する議論がやりづらくなってしまうのでは? と思う方もいるかもしれません。そのときは旧型のウィキスタイルのフォーラムに変わる新しいフォーラム機能 (このコミュニティセントラルにある新フォーラムは Special:Forum からアクセスできます) を有効にすると、その主名前空間の記事に対してフォーラムのスレッドを簡単に紐付けすることができます。これによって記事に関する議論はトークページからフォーラムに移すことができます。
フェアユースによって比較的自由に画像をアップロードすることも可能[]
ウィキアは、本社もサーバもアメリカにあるため、著作権がある画像などのファイルのアップロードに関しては、ほとんどフェアユースの法理を適用可能なケースがあります。
ウィキペディア英語版でもフェアユースとして扱った画像が多数アップロードされていますが、ウィキペディア日本語版では例えばそのサーバがアメリカにあっても、今のところフェアユースとして扱う必要がある画像のアップロードは完全には許可されているとはいえない状況になります。そのためウィキペディア日本語版では、英語版の記事と比較すると画像がほとんどない記事が多数見られます。
ウィキアでは、そのような縛りルールを適用する必要はなく、日本語版であろうと英語版であろうと、フェアユースに関しては同じように扱うことができます。ウィキアの英語版のさまざまなコミュニティのように、(著作権所有者からの著作権侵害の申し立てが無い限り) 積極的に画像をアップロードしていきましょう。
比較的自由に動画の掲載が可能[]
ウィキペディアではなかなか動画をアップロードするということはできないかもしれません。 しかしウィキアならば、非常に簡単に動画をアップロードできます。厳密にはアップロードではなく、リンクをしているだけですが、YouTubeにある動画を簡単に取り込むことができます。さらに、ウィキアにはWikia Video Library (ウィキア・ビデオ・ライブラリ) というウィキアコミュニティがあり、このビデオライブラリにある動画はライセンス取得済みであり、YouTubeの動画が著作権上の理由により削除される場合があっても、こちらの動画ならばウィキア内では自由に扱うことができます。
しかも、Googleがウエブサイトへの動画の掲載を推奨しているため、ウィキア上に動画を掲載するとSEO (検索エンジン最適化) にも多少影響がでる場合があります。
ウィキペディアの厳しいルールに慣れすぎてしまった方には、ウィキア上に動画を載せることに抵抗があるかもしれませんが、視覚的でわかりやすくなり、閲覧者を惹きつけやすくなるため、動画の掲載は非常におすすめです。
その他[]
ウィキペディアには、同一記事で連続投稿をしてプレビュー機能の利用を怠るユーザーには厳しい対応を迫られることがありますが、ウィキアではとくにそのようなルールは設けられていません。
他言語版からの記事の翻訳や、他のサイトからの記事の移行や統合や引用をするとき、編集の要約 (Edit Summary) に引用元のURLなどを「初版」から記入しなければGFDL違反として削除される、という話がウィキペディア日本語版では過去に何度かあったようですが、ウィキアでは、ライセンスが CC BY-SA 3.0 になっているウィキアコミュニティ上では、著作権所有者から何らかの要求でもない限り、そのようなことに拘る必要性はほとんどありません。
ウィキア上にあるコミュニティによっては、こういったことについて、厳しいルールを設けている場合もあるかもしれませんが、そのようなコミュニティのやり方を何でもかんでも真似して「あれも駄目、これも駄目」「こういう行為をしたらブロック」というようなルールを必ずしも持ち込む必要はありません。下手に厳しいルールを持ち込むと、初心者など多くの人が毎回ビクビクしながら記事を編集することになり、萎縮させてしまうかもしれません。
おわりに[]
ウィキアとウィキペディアの違いを語ろうとすれば、キリがないくらいにまだまだ語れることは無数にあります。このブログエントリでは、ウィキアはウィキペディアほど厳しくはなく、比較的自由に記事を編集できるということを説明しました。
ウィキペディアのことは、「コミュニティ」と呼ぶ人もいますが、百科事典を作るためのウェブサイトであってただの仲良しクラブなどのような慣れ合いコミュティではないと言う人もいます。
一方で、ウィキアはウィキペディアとは違い、まさにコミュニティの集合体ともいえます。ウィキアでは「Wiki」という仕組みを使っていますが、すべての「ウィキア」が百科事典である必要性がありませんし、目的は多種多様です。