- アン・ワトソンはFandom powered by Wikia人事部担当バイスプレジデントです。ワトソンは2012年に入社。Fandom企業価値シリーズの序章もワトソンが投稿しています。
まずはじめに、私は自分の仕事が本当に大好きなんです。それも、「単に好き」「生活のためにやっている」「ほぼほぼ楽しんでいる」などのレベルではく、100%心から愛していると自信を持って言えます。読んでいる方はきっとこう思っているでしょうね。「そんなはずはない、だって人事部って社員に煙たがられたり、人事評価の記録や保管をするだけの存在でしょ?」と。イギリスの大ヒットTVコメディ「ジ・オフィス」 をご覧になったことのある方はご存知かもしれません。トビーという人事部長がドラマに登場するのですが、彼は社員にとって典型的な憎めない存在、同情すべき存在、あるいは恐れられるキャラクターとして描かれています。ですが、同じ人事でも私の場合かなり性格が違います。なぜなら、Fandom自体が他社とは明らかに異なる企業文化を持ち、その価値観のひとつにバランスがあるからです。
私自身、もっとも好きな価値がバランスです
もし一番好きな企業価値を選べと言われたら(それも自分の子供から一番のお気に入りを決めろと言っているようなもので、いたとしても他の子たちの手前、本当は絶対に言わないのですが)、正直、私は断然「バランス」を選択します。話はWikiaに入社した頃に遡るのですが、私はオフィスの扉をはじめて通ったその瞬間から、ここが単なるウェブサイト系の会社ではないことを明らかに感じました。これに関しては、昨年入社したタレント担当バイスプレジデントのジョン=ポール・エールズ=バーニコートも同じ印象を受けたそうです。つまり、ここは1つの巨大ウェブサイトを1つのグループが運用しているような会社ですらなく、実際にはそれぞれ異なる目的や方向性を持つ個々のチームが、それこそ特徴やニーズが千差万別の数千ものコミュニティを支えているのです。
企業価値の中でもバランスは必要な存在です
前回の投稿で、私たちの中核を最もよく表す価値観を特定するため、社内協議を何度も繰り返した話しをお伝えしました。その際に「連携」と「協力」の違いについて討論したことにも触れましたが、これについて考えたことがある方は果たしてどれくらいいるでしょうか。 私の場合、次の疑問に対してかなり深くまで答えを模索しました。この2つの言葉の違いって何?片方の言葉の主張性が強くなるとどう聞こえてしまう?つまり、2つの言葉の間でバランスが必要となる一方で、最終的に決定した一連の価値観の間でも総合的なバランスを考慮しなければならなかったのです。「ハート」があまりにもありすぎたり、「信頼」や「連携」に比重を置きすぎるとどうなるのか。価値としてはそれぞれ重要にも関わらず、ひとつでも過剰に強調されすぎてたり、バランスが崩れてしまうと、たちまち大参事になってしまいます。
価値観を1つでも誇張したり、あるいは過小表現するのではなく、常に均衡を保つには絶妙な技が必要です。紙に書いて終わりということでは決してありません。だからこそ、企業価値について語る際に必ずバランスが先に来ます。バランスがあってはじめて、その他の価値観を見つめる際に必要な視点が備わるのです。
人間として成長するには
私は自分のキャリアを通じて長年、企業(並びに人事チーム)は単に組織の一員としての育成に努めるだけでなく、より良い人間としての育成を目指すべきだということに熱意を傾けてきました。ひとりの社員がたとえFandomでの職務を終えたとしても、人間としてそれまでに大いに学び、成長し、変化していて欲しい。採用時には社員のその時の人格を評価して雇いますが、そこで終わるのではなく、年月と共に1人1人が人間としてもっともっと、進化を遂げて欲しいと私は常々願っています。
これをサンタの工房に例えてみましょう。チームと私は(と言っても、ほとんどはカーラですが)、サンタのお手伝いをする小人のエルフたちに「もっと早くおもちゃを作ってもらう」ための施策を実施するだけでなく、同時にインフルエンザの予防接種など健康管理を行い、金融リテラシー(お金に関する知識)を高め、ボランティア活動を通じて地域社会に貢献し、旅行を楽しみ、外国語を学び、歯の健康を気にし、健康的な食生活を心がけ、そして、Fitbit(活動計量リストバンド)で最も多い歩数を記録した優勝者に授与されるギャグのような爆笑賞品をかけ、海を越え世界中のチームメンバーと競い合う、そんな最高かつ善良なるエルフを育成しています。もしFandomが「とにかくおもちゃの数だけ多ければいい」といった価値観だけ掲げていたとしたら、私たちが支援する「より良い人間を目指した育成活動」は話題に挙げることすら荒唐無稽と言っても過言ではありません。Fandomが企業文化として重要視しているからこそ、このような活動が現実として成り立つのです。
Fandomの文化
以前からお伝えしているように、Fandomには美しい文化の灯がともされており、それを永続させることが私の使命だと思っています。ただ実は時々、それを私自身が吹き消したい気持ちに駆られるのです。もちろん炎全体ではなく、あくまでも部分的に、それも永遠ではなく時々だけ。矛盾に聞こえますよね。全部を消さずに部分的だけ息を吹きかけるなんて無理?そもそも、この話の意味は何?大丈夫、皆さんが疑問に思われる気持ちはちゃんと理解していますから。
それでは、説明しましょう。
私たちの会社には、設立当初からワークライフバランスの概念が強く根づいています。基本的にはそれぞれの生活に合わせて適切な時間に出社します。ここ2年の間に2~3社ほどスタートアップを経験されている方にとって、サンフランシスコ所在のオフィスはまさに最高の職場です。仕事はもちろん優秀だけれど、これまで仕事以外での自分磨きや社会活動に時間を投資できずにいた方なんかは、特に打ってつけです。ここなら、絶えずチャレンジ精神を持ち続け、高みを目指しながらも、物理的にも精神的な健康面を保ち、家庭での時間も大切にすることができます。では、ある程度の切迫感を伴う状況において、私たちはどうするのでしょうか。もちろん、プライベートの時間を再び失い、 採用面接の際に述べた約束を卓上の空論にしたくはありません。ですが、どうしても夜遅くまで仕事しなければならない時もあります。それが金曜日になる可能性も。ゴールを超えるためには、時にそういった事も必要と言わざると得ません。
バランスについて問われた時、まさにそういった状況において苦境に立たされます。自分らしさを保ちながらも、成長と進化を止めないためにはどうすればよいか。私たちは様々な人員を採用し、新たなリスクを負い、既成概念を破り、そしてもちろん、必要な時にはいつにも増して仕事に励みます。ですが金曜の深夜まで働いたとしても、それはあくまでも例外であるという認識ですし、それも付け焼刃的な管理体制だったり、誰かの権力の餌食になっているからではありません。個人としての充実感を手に入れるためには、自分の今の姿を認め、それから今後どうなりたいかについて声を大にして表現すること。過去と未来のバランスを図るというのは、そういうことなのです。そうしなければ人間としての進化は止まってしまい、人生という旅路の途中で自分を見失ってしまいます。
そもそもこのブログにも、バランスが必要でした
この投稿を準備するにあたり、私たちはいくつかのバージョンを揉みながら正しいバランスを見出すのに苦労しました(バランスというお題の中でもさらにバランスを見つかなければならないなんて、なんだかおかしな話ですが)。私は、Fandomで実際に目にするいくつもの素晴らしい日常風景を紹介したいと当初から思っていました。例えば職場のおやつコーナーに常に食料がストックされていること。長い勤務時間を奨励するような福利厚生は絶対に認めないと私が全社員を前に高らかに宣言した日のこと。全世界のオフィスに圧巻の音響システムが設置されていること。Spotifyのチャンネルがランダムに流れると、何人か社員が急にカラオケ大会を始めたり、その一方で集中しなければならない大事な時には静かな環境が揃っていること。個人の事情や状況を尊重するような職場でありつつも、どんな会社にも負けないほど最高のパーティを開催していること。重大な意思決定を迅速に敢行しつつも、常に十分な熟慮を重ね、迅速かつ慎重に物事を進めながら、正しいことと必要なことを両方とも達成しようとする姿勢であること。こういったことを全部、私は皆さんにお伝えしたかったのです。
こういった決断は時にして非常に困難ですが、それだけ達成感を伴うものでもあります。では、どうやって様々な決断に至るのでしょうか。答えはコラボレーション、つまり「連携」です。そしてこの「連携」という価値観については、今度はプロダクト&イノベーション担当チーフオフィサーのテッド・ギル、およびエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのアンドレイ・スヴェドレンスキーにバトンを渡し、本シリーズの次週投稿にてご紹介いたします。
皆さまのコミュニティにはどんな最高のバランスが存在しますか?既存のユーザーや読者だけでなく、新しく参加される方々のニーズもどうやって同時に達成していますか?次は皆さんの番です。ぜひ、私たちの物語を超えるような実例を共有してください!
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