コミュニティセントラル

この記事を読んでいるあなたは、おそらくウィキの申請を終え、自分が設立者となったウィキを手にしていることでしょう。もしかしたらこれから申請を行うかもしれませんが、それでも早晩ウィキを手に入れているでしょう。さあ、ウィキ作成の始まりです。

ただ、残念なことに、世の中にはうまくいっているウィキとそうでないウィキがあります。では、良いウィキを作るには、どうしたらいいでしょう? 今から自分のウィキを始めて、どうやって運営していけばいいでしょうか?

ウィキの利用者の構造[]

膨大な利用者を誇るウィキペディアでも、実際の執筆者は、1%から数%と言われます[1][2]。それでも200万項目を越える記事を擁することの出来たのは、ひとえにそのカバーする領域の大きさでしょう。では、ある目的に特化したFandomのWikiの場合は、どのようにしてこの「1%」の人を執筆に向ければいいでしょうか。

まず、ウィキペディアとFandomの大きな構造上の違いとして、ウィキペディアの場合は、百科事典という性格から、来訪者の関心の領域がウィキペディアのカバーする領域を大きく出ることがないのに対して、Fandomの場合、個々の関心と来訪者の関心が必ずしも一致しないというのがあります。簡単な図にすると、こんな感じです。

Wikipedia model

ウィキペディアの関心と来訪者のモデル

Wikia Model

Fandomの関心と来訪者のモデル

それに対して、実際にプロジェクトに参加する人の割合はどのように観察できるかというと、こんな感じになります。緑の部分が、実際に参加するであろう人を示します。

Wikia Model Awareness

Fandomへの参加者のモデル

では、この人達の関心をどうやってひけばいいのでしょうか。

サイトは何を行えばいいのか?[]

人に関心を持ってもらう手段のひとつが、信頼性の強化です。信頼を作ることで、利用者の来訪は増え、その中から、編集する人も出てくるでしょう。では、どうやって強化すればいいでしょうか。

そのひとつに、わかりやすい編集方法の紹介があります。このサイトには、ヘルプ:コンテンツの記事から多くの案内文書がありますが、とても数が多く、かつ複雑です。それでは、せっかくの利用者も後込みしてしまいます。そこで、一ページに収まる簡単な記事(例:ヘルプ:イントロダクション)を作ることによって、利用者がサイトを信頼し、時にはその文書にしたがって、編集作業に入ることもあるでしょう。

それから、興味の増加です。興味を持ってもらい、是非とも次に訪れたくなるようなサイトを作るようにするべきでしょう。その手段については、後述します。

認知度をあげるのも、来訪者増強の手段です。これもまた具体的な手段は後で述べることにします。

こうして来訪者を増やし、ウィキのプロジェクト自体が著名になったところで、何が起きるでしょうか。それは、質の強化です。人が増え、編集する参加者が増えると、次々と記事が増えていきます。そして、そこで人々は記事の整理を行い、あるものは統合され、あるものは削除され、またあるものは強化されるでしょう。来訪者の増加は、またプロジェクト自体の強化も行います。増える来訪者をきちんと導くために、気がつけば誰かが案内やナビゲーション用のツールを作っているかも知れません。それを活用することは、またプロジェクトをいっそう強化することになります。

では、どれだけ来訪者が増えれば、いいのか? 例えば、「英語の話せる、心理学を学んだことのある人」という数を75万人と見積もります。そのうちの10%にサイトの関心を持ってもらうことを目標とし、そのうちの1%が執筆に参加したとすると、その数は750人。しかし、現実は、ここまで数が多くなくても、サイトは健全に運営できます。したがって、関心を引くのは、プロジェクトが念頭に置いている世界の5%程度で良いかも知れません。

利用者の増加を図るために[]

利用者が多ければ多い程プロジェクトは発展します。では、それはどのようにして行うべきでしょうか。

プロジェクト開始直後[]

ウィキというツールは、最初は何もしてくれません。何の文書もなければ、人を魅了するコンテンツもありません。従って、最初の編集者は、そのプロジェクトを立てた人自身ということになります。

まずはプロジェクトの基礎を明確にすることが重要になります。ロールプレイングゲームであれば、そのゲームのストーリー、キャラクター、アイテム、モンスターなどがそれに該当します。人気のバンドの記事であれば、そのバンドのメンバーやプロフィール、今まで作ってきた作品などでしょう。政治に纏わるプロジェクトであれば、その国の政治史や大統領や首相といった重要な人物のプロフィールが必要になるでしょう。また、案内文書やフォーラムの整備をするのもいいと思います。

プロモーション[]

そして、それが整ったら、「プロモーション」です。――プロモーション? ウィキにプロモーションは必要でしょうか? ここでの答えは「Yes」です。通常、宣伝という行為はあまり推奨されることではありません。でも、何も言わなかったら、そのウィキを訪れる人は少ないままであることも事実です。どんな強力な方法を使っても、利用者が劇的に増えることはありません。そこで重要なのは、サイトに来た人達にあなたの存在を認めさせることです。そして、そのプロジェクトが何であるのかを伝えることです。 じゃあ、プロモーションには、どんな方法があるでしょうか。

  • 関連するメーリングリストや掲示板で告知する(ただし、スパムにならないように!!)
  • 興味のある友達を招待する
  • もし、何らかの到達点に達したなら(例えば、記事数が500を越えるなど)、そのことを告知する
  • ブログなどの自分の持つメディアで告知する

特に、対話を重んじるのが重要です。例えば、個人のメールのやりとりと、一斉にバラまかれたスパムと、どっちがあなたは好きでしょうか。

コミュニティを作る[]

コミュニティと一口にいっても、大小さまざまです。ウィキのコミュニティといったらウィキペディアを思い浮かべる人もいるでしょう。でも、誰もがウィキペディアのような大きなコミュニティを作れるわけではありません。Fandomでも、大きなところで50人程度と言われます。ここで肝心なのは、小さなコミュニティでどうやってウィキを盛り上げていくか、です。

小さなコミュニティでは、個々人がとても重要になります。ウィキペディアでは一人が抜けたところで、大きな問題は無いでしょうが、小さなコミュニティでは、一人が抜けるだけでとたんに記事の更新が止まってしまうこともあります。従って、個々人の動きに十分注意を払う必要があります。その人たちが気分良くやっていけるような配慮していくのが重要でしょう。

コミュニティにとって必要なのは、あなたの存在です。あなたは、匿名であってはいけません。匿名の誰かが話したことは、匿名の誰かとしてしか受け取ってもらえないでしょう。そうしたコミュニケーションの蓄積は、信頼を生み出すのに不可欠です。

ウィキというシステムは、基本的に自主的な興味を持った人の集まりです。もし、彼がプロジェクトにおいて孤立するなら、参加するモチベーションはどんどんと下がっていってしまうでしょう。匿名投稿者が来たら、是非ともwelcomeテンプレートを送ってあげましょう。そして、そのテンプレートの中で、そのウィキのポリシーや、簡単な使いかたを教えてあげましょう。そうすることで、彼とのコミュニケーションはその後から少しずつスムーズになるはずです。

ウィキを育てる[]

こうして、ウィキの基礎と(小さいながらも)コミュニティができあがった後は、いよいよウィキそのものを育てることになります。コンテンツの開発はもちろんですが、それ以外にどんなことができるでしょうか。

フォーラムを活用する
Fandomでは、全てのプロジェクトでフォーラムを利用することができます。サイト全体に関する議論などは、個々のページでは無くて、中立的な場所で行う方が良いでしょう。
メーリングリストを作る
メールは、いまだにコミュニケーション手段として有効です。もし、多くの人がコミュニティに参加してくれたなら、メーリングリストを使って相互に連絡を取れるようにするといいでしょう。
サイトの構造を教える
メインページに、サイト全体の構成を書いてみましょう。どこに何があるか、どこで何をすればいいか、出来るだけわかりやすくしてください。そのサイトで扱うジャンル、今作っているカテゴリ、書き手の欲しい記事などを書いてみましょう。
小さくても記事を作る
小さな記事でも記事は記事です。その記事の内容がまだ不完全であるなら、書き込みを促す「スタブ (Stub)」と呼ばれるテンプレートを貼ってみましょう。
記事の作り方に迷ったら、用語集を作ってみましょう。タイトルと内容を明確にできる用語集は、ウィキのスタートにうってつけです。
サイトを飾る
デザイン面でサイトを彩るのは、来訪者を楽しませる良い方法です。デザインをいじるにはいろいろ方法があります。
などがあげられます。是非とも、そのサイトの内容にあったデザインにしてみてください。例えば、WoW Wikiの灰色が主体のデザインは、ゲームの内容にマッチしたもので、すぐにWorld of Warcraftのサイトだとわかるでしょう。
ヘルプ:Monacoスキンのカスタマイズといったページも参考になるでしょう。
テンプレートを作る
ウィキの記事の作成は、意外に面倒なものです。繰り返しの入力を避けるために、是非ともテンプレートを作ってみましょう。こうしたテンプレートの利用が、ウィキの見た目の内容を豊かにし、来訪者を楽しませます。
動きを作る
サイトが今生きているのか、死んでいるのかわからないようでは、来訪者がしりごみしてしまいます。可能なら、ダイナミックページリストを使って、新着記事、量の豊富な記事、または量の足りない記事をどこかに置いてみましょう。
管理者を置く
Fandomの使っているMediaWikiは、管理者を複数置くことができます。もし、一人で管理の作業が負担になるようだったら、他の有力な投稿者に管理者になるよう勧めてみましょう。管理の負担を軽減することで、あなたの記事を書く時間が増えるかもしれません。
ガイドラインを作る
サイトが大きくなってくると、今度は混乱が起きるかも知れません。プロジェクトにあわない記事が投稿されたり、揉めごとが発生する場合が往々にしてあります。そこで、サイトでどういう記事を扱うか、逆にどういう行為を拒否しているか、ガイドラインを作成しましょう。そうすることで、問題が起きた場合の負荷を最小限に食い止めることができます。
衝突を回避するために、出来るだけ話をしてみる
多くの人と合同で作業していると、時折衝突することもあるかもしれません。ただ、いたらに衝突するだけでは、そのウィキ自体が疲労してしまいます。そこで、利用者の会話ページやフォーラムページなどで話し合いをして、少しでもその衝突を和らげる工夫も必要かもしれません。また、そこから、新たなガイドラインやコミュニティ運営の手がかりが見つかるかもしれません。

そして、さらなるプロモーションを[]

サイトが順調に成長してきても、新しい情報が出てくるものついては、さらなるサイトの増強を図る必要が出てくるでしょう。ウィキを殺さないためにも、出来るだけプロモーションを続けることが大事です。そのウィキのコミュニティが有力なら、あなたが引退してもそのウィキは順調に成長を続けるでしょう。そのためにも、新しい投稿者の存在は、非常に大事なのです。

ここにあることは、万事が万事順調にいくものとは限りません。そのサイトにあった方法を探す必要があるでしょう。繁栄している掲示板を使うこともあれば、結束の堅いメーリングリストへの投稿もありうるでしょう。もし、あなたが人気のあるブログの書き手なら、そのブログで宣伝するのがいいでしょう。デザインやサイトの構造も同じです。環境に関するサイトとPCガジェットに関するサイトでは同じサイトの構造は使えません。是非とも、あなたなりの道を探し出してみてください。

脚注[]

  1. The 1% Rule: Charting citizen participation
  2. 閲覧者の94%が「信頼できる」、オンライン百科事典ウィキペディア (中に「編集したことがある」人は閲覧経験者の4.26%(21人)にとどまり、これは全体のわずか1.98%だ。」とある)

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